「そんな甘いものばっか頼んでどうするんだよ。太るぞ」

「いいの。たまには糖分もとらなきゃ。隼平はこれ頼んでよ。それで私にも分けて」

「はいはい」


何が悲しくて、二人のやりとりを見ていなければいけないのだろうか。

斗真の視線に気付いた前田が振り返る。


「何か怒ってる?」

「別に。トイレ行ってくるから俺の分、適当に頼んどいて」


斗真は逃げるようにその場を離れた。

トイレの個室に入って、用を足すわけでもなく便座に腰掛けて大きくため息を吐く。


「やっぱり来なきゃよかったかな」




──隼平も、…一緒でいいかな?




あれはたぶん、いやきっと俺と二人が嫌だという意思表示なのだろう。

青柳が自分のことなど眼中にないことは分かってはいたが、見たくなかった現実を目の当たりにして余計に悲しくなった。