どうやったら、あの星を手に入れることができるんだろう。

しばらく考えた末、思いついた凛子は手の平にこぶしを置いた。

すぐさまそのアイデアを実行するためにジャングルジムのてっぺんまで登り、その上で立ち上がった。

随分と星が近くなった気がする。

凛子は空に向かって両手を懸命に伸ばした。


もうすぐ。
あと、少しで届く。



あと少しで、あの星に。







「何してるんだ、凛子」


その声に驚いた凛子は足を踏み外した。

あっ、とバランスを保とうとするも既に体は宙に浮いている。


「凛子っ」


振り返ると見慣れた顔がこちらに向かって走っていた。


「しゅん、ぺ、───」


それはスローモーションのようにゆっくりと動き出し、あとわずかで届くはずだったあの星が段々と遠のいていく。

凛子は目を強く閉じた。

砂を蹴る足音だけが聞こえる。





ダンッ───背中に衝撃が走った。