共に行く者

両手にケータイ電話を握り締め、孝一の元へ。

「…待っていてくれ。オレはオレの寿命が尽きるまで生きたら、絶対にお前の元へ行くから」

何も話すことのできなくなった、オレの親友。

最後にその頭を撫でる。

「その時はまたこうやって、頭を撫でてやる」

ボタボタと孝一の顔に、オレの涙が降り注ぐ。

孝一は笑顔だった。

いつもの癒やしの笑顔を浮かべていた。

オレはこの笑顔を胸に刻み込み、孝一から離れた。

「それまでの…さよならだ」

両手のケータイ電話を握り締め、オレは孝一に背を向けた。

きっと、時間なんてあっと言う間に過ぎる。

お前がいなければ、余計に、だ。

そして忘れないだろう。

孝一、お前との誓いを。





そして行く先は地獄を通り越した奈落の闇―。

本来ならば命ある者を道連れとしたアイツの行った先は、濁った色を通り越した、闇の世界。

オレは孝一と一緒にいることを望んだ。

だから…オレもまた、奈落に落ちなければならない。

「孝一、お前と同じ所へ、必ずオレも行く」

俯いた顔で、オレは笑みを浮かべた。