他の人達は多少怪我を負ったものの、無事だった。

オレも多少のかすり傷を負っただけだった。

2人の体は霊安室に並べられた。

いろいろ、たくさんの人が出入りしている。

その様子をオレはぼんやり見ていた。

やがて、孝一の母親がオレの前に現われた。

挨拶しなきゃいけないのに…アレ以来、上手くしゃべることができなかった。

だから軽く頭を下げるだけ。

その様子を見て、おばさんは涙を流しながら、手を差し出してきた。

視線を向けると、孝一のケータイ電話だった。

おばさんは言った。

孝一は発見された時、オレを抱き締めながらも、その手にはケータイ電話を握り締めていたんだと…。

オレはケータイ電話を受け取り、驚いた。

孝一のケータイには、あのストラップがついていたからだ。

2人の誓いの意味を持つ、ストラップが…。

オレは傷だらけの孝一のケータイ電話を握り締め、自分のケータイ電話を取り出した。

オレのケータイ電話にも、例のストラップはついていた。

「孝一…!」

トパーズの石言葉は、友愛・潔白・友情・希望・名誉。

孝一はその中で、友情という言葉に惹かれたんだろう。