共に行く者

「彼女、さっき僕を呼び出してこう言ったんだよ」

今までに見たことがないほど真剣な表情で、孝一は利実を見下ろした。

「『グループにいられなくなるのは、もうしょうがないって諦めた。でも彼のことは諦められないから、協力して』って」

「利実…! あんなに言ったのに、まだオレのことを…」

「気持ちは分からなくはないけどね。でも次の瞬間、言われた言葉で彼女に見切りがつけた」

「何を…言われた?」

孝一は苦笑しながら語った。

必死な様子で頼んできた利実だが、突然孝一に抱き着いてきた。

「協力してくれるなら、何でも欲しい物あげるわ。お金でも、アタシでも、ね?」

そう言って孝一にキスしようとした。

「…バカなコだよね、ホント」

「だな」

そこへオレが乱入してきたわけか。

必死なのも過ぎると嫌なもんだ。

今度は手段を選ばず、オレを手に入れようとしたのか。

「お金や女で僕がキミを譲るわけがないのに…。あんなことを言わなきゃ、一緒に連れて行く気なんて起こらなかっただろうね」

「どこへ…行く気だ? 利実を連れて」

オレは震える声を振り絞った。

だが孝一は苦笑するだけ。