かけがえのないキミへ



『彼女出来たんだって?』


湿気で少しうねった前髪を直しながら俺は言った。


『昨日告白したら付き合ってくれるってさ!まぁ、ちょっと強引にだけど』


『強引にって…相手の気持ちは聞いたのかよ?』


『これから好きになってもらえばいいじゃん!』

竜也はこう言って、更に眩しい笑顔を見せる。
今日は見えない太陽のような、眩しい笑顔を。


『竜也の彼女見てみたいし。会わせろよ?』



『おう!いいよ。今日会う約束してるからさ』



『じゃあ会わせて。なんていう名前?』



竜也は俺の方を見て、白い歯を見せる。



『あやちゃん』



あやちゃんって言うんだ。
可愛いのかな、と勝手に想像を膨らましていく。



俺は、バカだ。
この時、何故分からなかったのかな?


綾音は、もう─…



空が、唸り声を上げていた─…