かけがえのないキミへ



俺は渋々、梨花からかかってきた電話に出ることにした。


『はい?』


『怜?今大丈夫?』



『ん?なに?』


俺は綾音と隣同士に座っていたあのベンチに座り、目を閉じて梨花の話を聞いていた。



『今から会いたいなって思って…』



恥ずかしそうに梨花は言う。
俺はついつい梨花の発言に対して笑ってしまった。


『今から?今日会ったじゃん』


つい三時間ほど前、一緒に買い物をしていたのに、もう会いたいって喚いてるの?
俺不足?なんてね。


『でも!会いたいの!』


『じゃあ今から行くよ』


俺ってなんでこんな人間なのだろう?
嫌だなんて言えなくて、命令には従って…
これじゃ俺は女の欲求を満たすただのペットじゃん。

こう不満をつぶやきながら、落ちていた空き缶を思い切り蹴った。


その空き缶は、道路へと転がっていき、呆気なく車に潰されてしまった。