かけがえのないキミへ



『空を見上げる!』


『今日はいい天気だし、見えると思うぜ?じゃあまたな!』


遥斗さんは唯さんと仲良く手を繋いで、駅へと消えて行った。
見えなくなるまで俺は手を振っていた。


俺は幸せだ。
素敵な人に出会えて。


遥斗さんの言われた通り、俺は空を見上げる。



『こういうことか…』


遥斗さんが言っていたご褒美ってこのことだったんだ。
涙が太陽に反射して七色になっている。
綺麗で…綺麗で…
また俺は涙を流す。

こんな簡単に虹をみることが出来るなんて…
知らなかった。

それともう一つ。
恋愛の本当の意味。

苦しいからそれは恋なんだ。
傷つくからそれは愛なんだ。

こう思えば、なにも怖くない。


さっき雅くんからもらった写真を見て、俺は微笑むんだ。


『…ありがとう…』


ずっとこの写真を見ていると、今にでも動きそうな気がする。