涙でゆらゆらと揺れる雅くんの姿。
俺は急いで涙を拭いた。
『…これあげる!!』
雅くんが俺に差し出したのは一枚の写真だった。写真の一面に広がっていたのは、夏の代表の花、向日葵だった。
その写真がとても綺麗で、一瞬で心が奪われる。
『これ…』
『俺のじぃちゃんが撮ったんだ!すげぇ綺麗だろ?俺、じぃちゃんを尊敬してるんだ!!』
満面の笑顔で語る小さな少年。
その笑顔がキラキラと輝いていた。
俺は笑顔を作ってお礼を言う。
『ありがと…』
『俺、遥斗のこともすげぇ格好いいって思うけど、お兄ちゃんも格好いいって思うよ!』
雅くんは照れながらこう言って、光輝さんと百合さんの元へと走って行った。
そんな雅くんの姿がとても可愛く見え、ついつい笑ってしまった。
『雅のやつ…いいとこ取りだな。じゃ、行くな?あ、そうそう。怜、泣いたときはどうするんだっけ?』
俺は迷わず答えるだろう。
あなたに教えてもらったことを。

