でもまだなにかが足りない。
それはキミだよ─…
足を一歩踏み出して、
駅の方に向かう。
遠くには時計台が見える。
もう少しで昼になろうとしていた。
セミが今日はよく鳴いている。
いつもは五月蝿いセミの声でさえ、今日は有り難く聞こえる。
金色の髪の毛を靡かせながら、俺は溢れ出す笑顔をして、マンションに急ぐ。
携帯を開くと、一件のメールが届いていた。
宛先はさっき別れたばかりの竜也だった。
《俺、怜のこと恨んだりしねぇから、素直に行動してくれ。怜なら大丈夫!》
竜也は最後の最後まで俺の背中を押してくれるんだな?
最高だよ、お前。
俺は立ち止まって、メールの送信をする。
《竜也ごめんな。お前が友達で本当に良かった。ありがとな。》
送信し終わり、時計台を見上げる。
キミと出逢ったのは、
ここだったね…

