かけがえのないキミへ



竜也の家を出て、俺は向かうんだ。
綾音のところに。
今学校かもしれない。
だけど俺は俺たちのマンションに行く。

綾音の帰りを待つんだ。そして、キミを…離さない─…。


じりじりと太陽がアスファルトを焦がす。
そんなアスファルトの上を歩く俺。
暑いけど…なんだろう?この清々しい気持ち。

ふと俺は空を見上げた。ゆらゆらと気持ちよさそうに揺れる木々が視界に入る。

色鮮やかな緑は、ある人を思い出させる。


『遥斗さん…』


俺が思い出したのは、遥斗さんだった。
あの撮影からずっと会っていない。
何度か連絡をしようとしたが、遥斗さんの忙しさを考えるとなかなか出来ないでいた。


俺は、遥斗さんに感謝している。
あの時、諦めるなと言われて身が軽くなったんだ。

だから今の俺がいるのかもしれない。



『…幸せだな、俺…』