竜也の家を見上げて、インターホンを押す。
可愛らしい音楽が鳴る。だがその音楽が鳴り終わっても、家の中から誰も現れない。
『いるよな…』
不安を抱いて、もう一度押すが結果は同じだった。
すると握っていた携帯が小刻みに震え出す。
このバイブは着信ではない。
ならばメールか?
携帯を開き確認をする。やはりメールだった。
しかもメールの送信者は竜也。
《鍵開いてるから中に入ってこい》
メールの内容はただこれだけ。
俺は小さくため息を零して、竜也から送られてきたメールのように、勝手に家の中に入って行った。
家の中に入ると、朝なのに薄暗く、とても奇妙なものだった。
遊也くんは今日は居ないようだ。
竜也の両親は共働きのため会ったことはないに等しい。
靴を脱いで、行き慣れた竜也の部屋へと急ぐ。
家の中に響くのは、俺の階段を上る音のみ。
竜也の声など、聞こえて来なかった。

