俺が呼んでる声聞こえる?
いつか聞こえてくれるといいな…
そしていつか…綾音の声が聞こえるといいな…
俺は星、ひとつない夜空に向かって願いごとをした。
『家、どこ?』
ベンチから立ち上がり、綾音を見下ろした。
綾音は携帯をしまい、指さした。
指さした方向は、俺の家とは真逆の方向。
『あっち?』
指差した方向に足を進めようとすると、綾音は俺のカッターシャツを握り、俺を引き止めた。
『ん?』
綾音は手を横に振る。
そしてピースサインを作り、深く二、三回首を縦に振った。
『大丈夫…なの?なんで?もうこんな時間だよ?』
時計台の針は、もう19時20分を指していた。
辺りは人影があまりなく、女の子を一人にして帰すわけにはいかない。
『危ないから送るよ。こんな時間にさしたのも俺なんだし』

