かけがえのないキミへ



キミが話せなくても、
キミの声が聞けなくても、やっぱりキミが気になるから、体がおかしくなるんだ。そうだろ?な?


俺はもう一度キミを見つめて優しく微笑む。


『キミが話せなくても、関係ないよ。名前…教えて?』



キミは再び携帯を開けて、文字を打った。



《小森綾音 光凌女子高校の二年生》



『小森…あやね?』



《そう。よろしくね、怜》



小森綾音。
これがキミの名前。
これからはキミではなく、綾音と呼べる。

そして綾音は今、俺を《怜》と呼んだ。


今日はなんて良い日なのだろう。



俺は綾音に自分の連絡先を教えた。
『いつでも連絡して』と言ったら綾音ははにかんだ笑顔を見せてくれた。


キミの声は、聞けないけど、キミの名前を呼ぶことが出来る。


それだけで十分だよ。
一気に距離が縮まった気がする。


綾音─…、聞こえる?