かけがえのないキミへ



そんな愚痴も吐けずに、ただ樹里がいなくなるのを待っていた。
樹里は諦めたのか、走ってどこかに行ってしまった。
ホッと肩を撫でおろす。

『そこにいるって知ってたんだから』


突如、後ろから聞こえてきた声。
慌てて振り返ると、樹里がいた。
後ろに回ってきたのか。

『なんで逃げるの?あたし、話がしたいだけだよ?』


歩み寄ってくる樹里。
俺は動けなくなっていた。
樹里の積極的な行動に圧倒されていた。


『別に…逃げてたわけじゃない…し』


『嘘に決まってるじゃない!今だって逃げたいって思ってるでしょ?』


樹里は俺の心が読めるのか?
確かに当たっている。


俺は通路から出て、明るい世界に戻ってきた。
樹里も俺のあとを追って、地上に出る。


『なんで俺なんだよ…』

『気になるの。ただそれだけ!』


『無理だ。俺は綾音が好きなんだ』