かけがえのないキミへ



明日世界がなくなるかもしれない。
明日綾音がいなくなるかもしれない。
未来が分からない世界に俺たちは住んでいて、
そう思ったら、ひどい恐怖を感じた。


嫌だ、そんなの…嫌だ。

ぼーっとそのことを考えていたら、綾音が心配したのか、俺の顔を覗き込んだ。


『あ、考え…ごとしてた…俺もう学校行くわ』


俺ははぐらかして、立ち上がり、自分の部屋に戻った。
ドサッとベッドに座り、先ほどの恐怖を思い出す。

怖い─…怖い…


小刻みに震える手。
俺は震えを消すために、ぎゅっと手を握った。


『…大丈夫…』


自分に言い聞かせる。
その言葉が弱々しかったのは、言うまでもない。


歯を磨いて、キッチンで洗いものをしている綾音に『行ってきます』と言ってマンションを出た。

エレベーターで下に行く。
マンションの外には、
一人の人が立っていた。