かけがえのないキミへ



両手に水とお茶が入ったビニール袋を持って、とぼとぼと歩いていた。

あと少しでマンションに着くというところで、向こう側から誰かの姿が見えた。


向こう側には夕日があって、眩しくて顔まではっきりとは見えない。
目を細くして、誰かを見る。


片手には可愛らしいピンクと白の袋を持って、下を向いて歩いてくる人の女の子。
黒い髪が夕日色に染まっていた。


『綾音…』


その女の子は、綾音だった。
間違いない。
小柄で可愛い顔の女の子は、綾音しかいない。


俺は重たい荷物を持って、少しよろめきながら、小走りとなった。

丁度マンションの入り口に着いたころ、綾音も入り口へと着いた。


『綾音!おかえり!』


額から流れている汗も拭かずに、綾音に笑顔を見せる。

綾音は『ただいま』と、口を動かした。


夕日に包まれる俺たち。そして夕日は地平線へと落ちていった…