かけがえのないキミへ



なんで俺の名前知ってるんだ?
後ろを振り返ると、彼女の姿はもう小さかった。

なんだ?あいつ。


『上原…樹里…』


俺は舌打ちをして、視線をアスファルトに落とした。
また厄介なやつが登場したな。

あいつに綾音を好きなことがバレてしまった。


『あー!!うぜぇ!』


近くに落ちていた空き缶を思い切り蹴って、怒りをぶつける。


最近、いいことないな。


…コンビニに着く頃には、多少怒りはおさまった。
水とお茶を各二本ずつ持って、レジに向かった。
夏のコンビニは好きだ。だって涼しいから。
だけどその幸せな時間はあっという間に過ぎてしまう。


コンビニを出たら、また暑くなって、帰るのが嫌になる。
でも夕方は朝や昼よりは暑くないので、丁度よく感じる。


俺は来た道とは別の道を通って帰宅した。
上原樹里がまた現れそうで、嫌だったから。