俺はこの時思ったんだ、あの二人は正反対だって。
『綾音!じゃーな!!』
綾音に向かって大きく手を振ると、綾音も手を振り返してくれた。
それだけで十分だよ。
綾音に背中を見せて、来た道を戻って行った。
まだ痛む足を動かして。
『あいつ、変なやつ』
先ほどの彼女を思い出しては、不思議に思う。
綾音と同じクラスなら、綾音に渡してくれれば良かったのに。
それと何故あんなにも冷静だったのか。
普通、男の俺が女子高にいたら驚くだろう。
だけど彼女は驚くことはなく、俺に綾音のクラスを教えてくれた。
『…意味わかんねぇし…』
小さく愚痴を吐いて、
俺は学校に向かった。
太陽が燦々と地面を照らす。
アスファルトから蜃気楼が立ちのぼっていて、余計街を暑くする。
『あー…めんどくさ』
携帯を届けに行っただけなのに、俺には体力が残っていなかった。

