かけがえのないキミへ



彼女は口を尖らして、
窓から下を見下ろした。

『ここからなら高さあんまりないし、飛び降りでも死にはしないよ』


『は?』


俺は彼女の言われた通り、窓から高さを確認する。
確かに、高さはあまりない。
だけど飛び降りるということに少し抵抗がある。
ここから?
本当に死なないのかよ。

どんどん近くなってくる先生の声。
そろそろやばいな。


『でも…靴がねぇし…』


そうだ、靴がない。
靴は下駄箱のところで脱いできてしまった。


『大丈夫。それならここにあるから』


彼女はこう言って、俺の目の前に靴を出してきた。
これは、俺の靴だ。
なんで持ってんだよ。


彼女の顔を見ると、誇らしげな笑みが浮かんでいた。



こいつ、なにもの?


『早くした方がいいんじゃない?』



俺は彼女から靴を奪って、その場で履いた。
窓に足を掛けて、唾を飲む。