太陽の光がガラスの窓を突き破って、俺を照らしていた。
俺の進むべき道を照らしてくれるように。
上に行くにつれて、雑音が聞こえてくると同時に、鐘の音が学校中に鳴り始めた。
俺の高校とは違う、聞きなれたチャイムの音ではなく、教会に鳴り響くような音だった。
これだけでも立派だと感じられる。
『綾音…』
ここまで誰にも見つからず、来れたのは奇跡に等しい。
俺は生唾をごくん、と飲み込んで、最後の階段を上った。
壁に隠れて、ちらっと覗く。
廊下には女子だらけで、俺の目が泳いでしまう。
『綾音…綾音…』
見つからない。
当たり前か。こんなにも沢山いたらわかるわけない。
しかも、何組か知らないし…
手に握られていた携帯をじっと見つめた。
でも、届けなきゃ。
綾音が困ってしまう…
すると突然、綾音の携帯が朝の歌とは別の歌で流れ始めた。

