かけがえのないキミへ



門には立派に《私立光凌女子高等学校》と書かれていた。
『間違いない、ここだ』と改めて思わせる。


『よし!』


俺は気合いを入れて、校門をくぐった。
レンガで造られた、地面を歩きながら、俺は緊張感を積もらせていた。


ここは女子校。
俺は男。許可なく侵入している、いわゆる不審者だ。
捕まりそうな、そんなスリル感を抱えながら、俺は校舎の中へと入って行った。


校舎の中に入ると、不気味なくらい静かで、目の前には、校則が張り出されている。


『全然違う…』


俺の高校とは全然違う。俺のところが自由すぎるのかもしれない。
綾音とは住む環境も違うのか。


俺は綾音の捜索を再開する。
綾音は二年生だ。
二年生は二階に教室があるみたいだ。
俺はゆっくりと階段を上っていく。


誰にも見つかりませんように…


綾音、もう少しでキミに会える─…



俺はぎゅっと強く綾音の携帯を握りしめた。