梨花はこの時、とても弱々しい言葉を言った。
その言葉が俺の胸を苦しめた。
梨花の願いを叶えてやることが出来ないから…
俺はいつか梨花から離れていく─…
遅からず、確実に…
俺は梨花に抱きしめられながら眠りについた。
少し蒸し暑いこの季節は、夜になると寒くなり、丁度いい温度になる。
梨花の香水の匂いが漂うベッドの中、男と女は、寄り添いながら違う夢を見ていた。
夢にまで出てくる。
今…キミは何をしていますか?
…次に目が覚めたのは、月明かりから太陽の明かりに変わっていたころだった。
眩しい日差しが俺を起こす。
俺は眉間に皺を寄せて、ゆっくりと目を開けた。
梨花の部屋が明るくなっている。
電気なんていらないくらい、眩しい。
『…朝?』
世界は朝になっていた。昨日あのままぐっすりと寝てしまったようだ。
隣の梨花もまだ眠りの中。

