真っ暗になっているのは俺の心だ、なんて心の中で呟きながら、俺は梨花の隣で目を閉じた。
完全に疲れきった梨花は、俺に寄り添って幸せそうな顔を浮かべている。
『ねぇ怜?』
『なに?』
梨花は俺を見上げて、手を握ってきた。
でも俺は素直に手を握り返すことが出来なかった。
今更なんで拒否反応をしてるんだよ。
そう思っても、出来なかった。
『ずっと一緒だよね?あたしたち』
女は時々不安になる。
だからこんな言葉を言うんだ。
安心するような言葉を待っているんだ。
これは多数の女と付き合ってきて分かったこと。
『世界が壊れなかったらね』
曖昧な言葉が俺の口から零れ落ちた。
世界が壊れたら、この疑似の恋愛とはサヨナラだ。
そして、本当の恋ができる。
俺はそっちの方が良かった。
『あたしを離さないでね、怜─…』

