かけがえのないキミへ



ただ思っただけだよ。
そんなこと思ったって…無理に決まってるよ。
半乾きの髪の毛から香るシャンプーの匂い。
綾音のシャンプーの匂いの方が、何倍にもいい匂いだった。


瞳が徐々に下がっていく。昨日竜也と語っていたせいか、まだ眠りが覚めていないのかもしれない。

俺はそのまま夢の世界へと入っていった。
だけど気持ちのよい夢などは見られなくて、何回違う夢を見ても必ず綾音が出てくる。

その時の綾音の表情が時に笑顔で、時に悲しい表情だった。

なぜ悲しい顔になってるの?なんて聞けやしなかった。

ただ立ったまま綾音の姿を見ていた。


『綾音…』


きっと寝言で綾音と呟いていただろう。

綾音との距離が一気に縮まった。
だが、綾音は俺の妹。
血は繋がってはいないが、今日から俺の妹なんだ…


俺は自分に言い聞かせるが、一度好きになってしまった気持ちは、変えられないんだ…