かけがえのないキミへ



必死になってなにかを探している綾音。
俺はそんな綾音をしばらく見つめていた。
そして段ボールから出したものを、大事そうに抱えて、ベッドに座った。

綾音が大事そうに抱えていたものは、淡いピンク色のワンピース。


『出かけんの?』


頷く綾音。


『誰と?』


綾音を見上げて俺は気になったことを聞いた。
友達?それとも…

綾音は答えにくそうな表情を浮かべた。


『…竜也?』


ゆっくりと綾音の首が下へと下がる。
やっぱり…ね。
俺は『いってらっしゃい』と小さな声で言って、綾音の部屋から出て行った。

自分の寝室へと行き、ベッドに横たわる。
苦しいのは変わらないのかな…


隣の部屋からドアが閉まる音がする。
そして玄関の閉まる音も…綾音は竜也とデートに行ってしまった。


もし引き止めたら、
綾音は行かないでくれるかな…?