だめだよ…
これ以上好きになってはだめだ…
俺は綾音から視線を逸らして、唇を噛み締めた。
すると急に変化した俺を変だと思った綾音が、俺の顔へと手を差し伸べる。
緊張する俺…
金縛りのようなこの感覚。
俺の顔と綾音の指先があと一センチもない頃、どこからか音楽が聞こえ出した。
綾音は手を引っ込めて、スカートのポケットから携帯を取り出した。
ピカピカと明るく光っているピンク色の携帯電話。
その光と共に同時に鳴り響くメロディー。
これもまた可愛いらしい女の子のような音楽。
『メール?』
綾音はこくんと頷き、部屋から出て行った。
俺は段ボールを空いている場所に置いて、床に座った。
綾音の帰りを待っていた。
そして数分後、綾音が部屋へと戻ってきて、段ボールのガムテープを剥がし始めた。
『どうした?』

