かけがえのないキミへ



これからいろいろ大変になりそうだ。とブツブツと呟きながら服に身を包んだ。
寝室からリビングを見ると、綾音が段ボールを自分の部屋へと運んでいる。
昨日まで空室だった隣の部屋が今日から綾音が使う。
緊張して寝られないかもしれないな。


『綾音、手伝うよ』


俺は段ボールを持って、綾音にこう言った。


綾音は笑顔を俺に見せて、自分の部屋に向かって行った。

段ボールを綾音の部屋に運ぶと、もうすでに部屋は片付けられていて、この段ボールは衣服類だとすぐに悟った。

可愛らしいベッドに、ピンク色のカーテン。
それに、うさぎの人形。

全てが綾音らしかった。可愛くて、俺はぐるりと部屋を見渡していた。


『可愛いな…なんか』


俺が照れくさそうに言うと、綾音も照れくさそうに笑い、二人は見つめ合った。


でも心の中の俺が何かを訴えている。

『だめだ…』って。