かけがえのないキミへ



卵の殻を拾って生ゴミの場所にへと捨てた。
綾音は下を向いて、なにか言いたそうだった。


『どうした?』


すると綾音がコンロの上に置いてあったフライパンを指差し、次は俺を指差した。


『え…?』


綾音の言っている意味がよく分からなかった俺は、綾音に質問をする。


すると綾音は携帯を俺に差し出してきた。


《怜に朝ご飯作ってあげようと思ったの。失敗しちゃった》



『綾音…』


みるみるうちに俺の頬はピンク色に染まっていく。
のぼせているからという理由ではなく、綾音の言葉が、行動が可愛くて、嬉しくて。
キミは何故そんなにも可愛いの?



『すげぇ…嬉しいんだけど…』


俺は口に手を当てて、喜びを噛み締めていた。
このまま綾音を抱きしめたくて…



《怜…服ぐらい着てよ》

だけど今の俺の姿はすごく情けない格好。
俺は急いで寝室へと服を取りに行った。



キミとの波瀾万丈な生活は始まったばかりだった。