かけがえのないキミへ



でも綾音は次々とシャボン玉を飛ばす。
キミはなにを思って飛ばしてるのかな?
ヒトの心を読めたらいいのに、なんてキラキラと光るシャボン玉を見て思っていた。


ふと頭を触ると、なにかべとべとする。


『あ!やべぇ!!』



俺は慌ててベランダから出て、洗面所へと直行した。
電気をつけて鏡を見ると、無様な自分の姿が映っていた。


髪の毛はボサボサでぺったんこだし、しかもスエットって!!
最悪な格好だ。
これで綾音と見つめ合ったというわけ?
考えたくもない。
早く気付けば良かった。

勢いよくスエットを脱いで、洗濯機の中に入れた。そして風呂場へと行き、頭からつま先までをお湯で洗い流した。


『最悪』と呟きながら、綺麗に洗い流していく。
シャンプーを泡立てて、たちまち風呂場は泡だらけと化す。


綾音はまだシャボン玉を飛ばしているだろうか?