かけがえのないキミへ



息を切らして、マンションに入る。
エレベーターを強く押して、エレベーターに乗り込んだ。
そして中で息を落ち着かせて、17階に着くのを待った。


刻々と近づく運命の時。

抱えていた制服のポケットから鍵を出して、鍵穴に挿すと、いつもと何かが違った。
鍵が…開いている。
竜也の家に行く時、鍵閉めたよな?なんで?

次々と浮上する悪い事。俺はゆっくりとドアを開け、部屋の中を覗いた。
廊下には数々の段ボール。やっぱり泥棒?

足の踏み場のない廊下を行き、リビングに向かった。

そこで見た光景は、信じられないものだった。

信じられなくて、俺は鍵を落としてしまった。

ベランダに一人の女の子。その子の後ろ姿がとても美しくて…そして空に向かって上る、綺麗なシャボン玉。



風に靡かれる艶やかな髪の毛…
キラキラと反射するシャボン玉たち…



『綾…音…』