かけがえのないキミへ



びっくりして、声が裏返ってしまう。
隣では呑気に欠伸なんかしているやつがいるし。

俺は素早く立ち上がり、制服を抱え込んだ。
髪の毛を触ると、ワックスでベトベトしていて、ぺったんこになっている。
朝から最悪だ。
仕方ないと思い、俺は帰る支度をした。


『俺、帰るわ。また月曜日な!』


俺はまだ寝ぼけている竜也を一人残して、足早に帰って行った。


『怜、朝飯食ってけよ』

リビングから遊也君が顔を出して誘ってくれるが、俺は断り、竜也の家から出て行った。


今日は休日のせいか、道端には人が沢山いる。
犬を連れて散歩をしている人もいれば、お洒落をして出かけていく人もいる。


だが俺は髪の毛ボサボサに、スエットという最悪の状態。


早く帰りたい。
俺はいつもより早く歩いて、マンションに向かった。


でも、マンションには、もうすでに誰かがいた…