《守ってあげたい》か…可愛らしい理由だな。
俺は竜也に背中を向けたまま小さく微笑んだ。
だがその笑顔はすぐに変わる。
フローリングの床が、俺の体を冷たくするように、俺の心までも冷たくする。
…待てよ…?
俺はあることを思い出した。
今日感じた違和感。
竜也が綾音を送っていく違和感。
俺が前に送っていく、と言ったら綾音はひどく拒んだ。
でも今日、竜也が送っていっていたときの綾音は普通だった。
なぜ俺は断られたのだろう?
胸がずきん、と唸る。
苦しい。助けて。
『なぁ、竜也?今日綾音ちゃんをちゃんと送っていったか?』
俺はこの引っかかりを、竜也に聞いた。
まるで喉に魚の骨が刺さった感じ。
早くすっきりしたい。
『あー…』
竜也は体を起こし、散らかったゲームのコントローラーを片付けていた。
『どした?』
『や…なんか…』

