「だっ、だめだよ!ちゃんと洗って返す!」
それがエチケットですよ!
このハンカチ汗でびっちょりだし、色が紺から濃紺になってるもん…。
こんなの、女子として返せませんよ。
「いや、俺が困る。今日一日ハンカチなしはきつい。」
あ、そうか。
まだ朝だしね。
手洗った後とか、使うよね。
あっ!!
「じゃあこれ使って!」
私は、カバンのポケットから黄色いハンカチを出し、ヤツに渡す。
「は?お前持ってんのかよ。自分の使えよ。」
「あ、ほんとだ。」
「お前、ほんと頭わりーのな。」
死んでしまえ。
こいつはこんな暴言しか吐けないのか。
「まあいいから!これ使ってよ!」
そう言って、ラブリーなウサギちゃんが刺繍されたハンカチを渡す。
「お前、これを俺に使えってか…。」
「いいじゃん。かわいいよ?」
「わかったよ。使うよ!」
そう言って、こいつは私からハンカチを奪い取った。
ウサギちゃんのハンカチを持つこいつに笑いが出てしまった。
「何笑ってんだよ。」
おっといけないいけない。
怒っちゃったよこの人。
うわー、めっちゃ睨んでる。
「案外似合ってるよ?」
満面の笑みでコメントすると、「殺す。」と言われた。
わー、コワーイ。(笑)