優しい嘘−最低な兄に恋して−【上】

今日のケイコはいつもと違ってた。



なにかあったのかは知らねぇが、確実にいつもと違っていた。





「また言ってくれなかった」


「あ?」


「また今日も好きだって言ってくれなかった。この間も言ってくれなかったし」


「そうだったか?」


「そうだったわよ」





今まで俺がいくら好きだと嘆いても興味なかったくせに、いきなりどうしたんだ?


仕事以外は何も興味ねぇって言ってたよな。