優しい嘘−最低な兄に恋して−【上】

正直、会わなくてホッとした。



気にはしなくても悲しいしショックだし、それに苛立ちもある。



だから、せめて今日だけは会いたくなかった。





放課後、ケーキ屋に寄ってから家へ帰ると、大雅はすでに女を連れ込んでいた。



やっぱり彼女になったところで何も変わらないんだね。



自分の部屋へ入ると聞こえてきたのは女の甘い声ではなく、泣き声だった。



どうしたんだろ?
大雅に酷い事でも言われたのかな?