優しい嘘−最低な兄に恋して−【上】

泣きそうになってるあたしの話を、カナはただ黙って相槌をうちながら聞いてくれた。





「雪穂は離れて暮らすのと、今のまま一緒に暮らすのとどっちが辛い?」




カナらしい質問にあたしは真剣に考えてみた。





「……このまま大雅と暮らすのは辛いけど、ひとりで暮らすのも嫌だ」


「あたしが見てる限り雪穂は辛そうにしか見えない。でも雪穂が辛くても大雅さんといたいなら、あたしは応援する」


「ありがとう。考えて入院中には結論を出すつもり」


「あまり考えすぎないでよ。またお腹痛くなるよ?考えたってなるようにしか進まない場合もあるから」


「うん。カナ、ありがとう。なんかちょっと気が軽くなったよ」






カナみたいに強い自分を持っていたら、こんな事にはならなかったよね。


あたしもカナみたいに強くなりたいよ。