優しい嘘−最低な兄に恋して−【上】

しばらくして無言のまま大雅は病室に入ってきて、パイプ椅子に腰をおろした。





「アヤさんは?」


「お前の着替えとりにいった。何かいるものがあればついでに買って来させるけど」


「ううん、何もいらない」





普段なら沈黙でも全く気にならないのに、今日はやけに気まずい。



大雅も足元ばかり見ているし。





「………いつからだ?」


「なにが?」


「いつから痛みを感じてた?」


「分からない」





多分…玩具だって聞いた時から自分の中でいろいろ変わってきた。