「平気!平気!むしろ大歓迎!!」

にこにこと嬉しそうにしながら乙姫を顧みる。
その言葉を聞いて、乙姫はホッと胸を撫で下ろした

決して口にはしなかったが、その横で、青の脳裏には“子供舌”という言葉が浮かんだ。

もし、それを口にしたのならば、虎太郎は頬を膨らませるに違いない
それかもうひとつ有り得るのは黒い笑顔になるな




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こんな山々に囲まれた“田舎”という単語が相応しい土地のせいか校舎は古びており、その壁などは全て焦げ茶色の木によってできている

「ここが学校……」

自分が通っていた所とは外観も雰囲気も違う。
日本人が感じる特有の懐かしさのようなものがある。

確かに古びているかもしれないが、乙姫自身は都会のコンクリートで堅められたものよりもこちらのほうが身に馴染むような気がした


「僕は先に行ってるから、青ちゃんは乙姫ちゃんを案内してあげてね!」

そう言って駆けていく虎太郎に青は“なっ…!?”と額に青筋を浮かべる

なんで自分が“あいつ”の所に行かねばならないんだ―――青は苛立ちと疲労感に長いため息をついた

「行くぞ。」

「あ、待って!」

踵を返す不機嫌な青の後を戸惑いながらも追いかける

向かう場所は職員室である。