俺は又千比絽を泣かせてしまったのか。


でも、千比絽は泣いていなかった。


千比絽が頬笑む。


「私が泣いてると思った。弘也といる時は泣かないと決めたの。弘也と一緒にたくさん笑っていたい。」


そうだよな、千比絽ありがとう。


残された時間を千比絽と笑って過ごすよ。


千比絽の覚悟を無駄にしたくない。


小林医師に好きな女を抱けないのが悔しいと言うと、弘也に覚悟があれば何とかなるんじゃないか。


なんて曖昧な事を言いやがった。


俺にはいつでもその覚悟はある。


だが、千比絽の気持ちを無視する訳にはいかない。


今はただ、千比絽と幸せな時間を少しでも長く過ごしたいんだ。


千比絽がいればそれでいい。


千比絽は俺の隣で笑っていて。