監督にそんな顔をさせたいわけではない。


どう説明すれば、私の思いが伝わるのか。


言葉を選びながら話した。


「どうして女子は駄目なんですか。試合に出れなくてもいいから、入部させて下さい。陸斗より体力もあるし、コントロールの良い早い球が投げられます。」


佐川監督が大きなため息をついた。


たとえ何を言われても、拒まれても絶対入部してみせる。


「陸斗と千比絽が双子だと言う事、二人の父親が工藤哲でプロ野球の選手だった事も知ってるし、兄の陸斗よりおまえが上手いのも分かってるよ。それでも駄目なものは駄目だ。」



わからず屋。


何でそこまで分かっていて、入部が駄目なんだろ。


女子だから駄目だと言う理由で、入部を認めないのはおかしいと思う。


小さい頃から野球が大好きだった。


お人形で遊ぶより、グローブをはめてキャッチボールするの事が楽しかったし、父としたキャッチボールは忘れる事が出来ない思い出だ。


でも、父さんはもういない。


野球をする父さんが大好きで、私の自慢だった。


それは今もこれからも変わる事はない。


私が野球を続ける事を父さんは望んでると思う。


入部を認めて貰うまで、監督から離れるつもりはなかった。