父親に認めてもらいたくて、中学に上がるまで少年団で頑張った。


女子である事で差別を受けたことは一度もない。


毎日泥まみれになりながら、野球をやれることが本当に嬉しかった。


陸斗は中学生になると、何故か野球を止めてしまう。


私は中学に入っても野球を続けるつもりでいたのに、母さんが無理矢理私立の女子中に入れた。


女子中に野球部なんかない。


「千比絽は女の子なの。真っ黒に日焼けして髪は男の子みたいだし、可愛い顔が台無しよ。これからは女の子らしい事しなさい。」


今更、無理でしょ。


父さんも母さんに逆らえなくて、私が女子中に行く事を反対しなかった。


野球がやれないなんて、人生が終わったのも同じだ。


この気持ちを何処にぶつければいいの。


毎日悔しくてたまらなかった。


何もかもが嫌になり、心の底から男になりたいと願ってしまったのだ。