初恋の向こう側


「ねっ 行こ!
昔みたいに金魚掬いやヨーヨー釣りやろうよー。
どうせ一緒に行く相手なんて、いないでしょ? 梓真は」

「勝手に決めつけんなって! 自分だっていないだろ?」

「ちょっとーっ 決めつけないでよね!?
夏祭りに一緒に行く相手ぐらい、いますぅーっ!」


いますぅーって、唇を思いっきり窄めてむきになってるヒロ。


「じゃ、そいつと行けば?」

「……梓真、あんた暫く会わないうちに性格歪んだね?」


ったく、どっちがだよ?

素直に、一緒に行こって言えば、可愛気もあるっていうのに。

まっ ヒロにそんな期待するだけ無駄か……。


「じゃあね。要件はそれだけ」


と立ち上がったヒロの短すぎるスカートが翻った。


「わかったよ」


返事をしてから、付け加えた。


「祭りの時にそんな格好してったら、虫に刺されるぞ?」


と、優しい幼なじみからの気遣いなのに。


「梓真、言うことがオヤジくさいよ?」


って……まったく。
素直に、わかったと言えばいいものを本当に可愛気のない奴!!