初恋の向こう側


電話を終え居間に行くと、玄関で話し声がしていた。

テレビを観ている真央に尋ねる。


「誰か来てんの?」

「茉紘ちゃんじゃない?」

「ふ~ん」


間もなく右手に鍋、左手にサラダボールを抱えて戻ってきた母さん。


「何それ?」

「この前ね、ちょっとおすそ分けしたらこんなにもらっちゃったの」

「中身は?」

「ロールキャベツとポテトサラダだって」


鍋の蓋を取ると、いい匂いが立ちあがった。


「このクソ暑いのにロールキャベツかよ」


なんて言ってみる。本心は、それ程思っちゃいないんだけど。


「そんなこと言わないの。
あんたと同じ歳でここまでできる子って、そうはいないと思うよー」


言いながら、サラダを冷蔵庫に入れる母さん。そしてm一人事のように付け足した。


「でもちょっと、しっかりし過ぎちゃってるのかなー…」