初恋の向こう側


大通りまで歩いて携帯を確認する。

2:04、か。

バス停で時刻表を確認しようした時、国道を挟んだ向こう側に立っているヒロを見つけた。

球技大会の一件から、まともに話をしていない俺達。

あの日、沸点に達した俺の感情もとっくにそんな熱は持ちあわせていなく、時間が経つのにつれて、ちょっとした罪悪感みたいなものまで生まれていた。

つい、むきになりすぎたかな、なんて。

明日から夏休みだ。

ヒロの携帯を鳴らしてやろうかとポケットを探る。

その直後、向こう側の車線にやってきたバスがヒロの姿を隠した。

白地に青いラインの入ったバスの腹には、この街で一番大きな病院の名前が書いてある。

そして、走り去った後にヒロはもういなかった。