「じゃあ、どうして告白みたいなことするの?」

「それは、言わずにいられないからじゃないの。離れるのはつらいけど、だからってあきらめることもできなくて。
お前が相手の立場だったらどうかな。『わたしはもうすぐ転校するけど付きあってくれますか?』って言う?

まっ、そいつの本音なんてわかんないけど。今のは俺の勝手な想像ね」


僅かでも人生の先輩なわけで、それに兄でもあるし。

もっとアドバイス的なことを言ってやりたいんだけど残念ながら俺もガキで、何より俺自身が迷走中だから。

あんまり気のきいたことが言えなくて、ちょっと情けないよな。


「ありがと。お兄ちゃん」


俺を見上げた真央の目はちょっと潤んでいるけど、口もとは緩んでいた。


「なに言ってんだよ? 俺なんてなんにもしてないじゃん」


真央が笑顔になったから俺も笑って言った。


「でもさ真央」

「なに?」

「どうするかはお前が決めることだけど、不安に思ってることは黙ってないで、ちゃんと相手にも伝えろよ。

後で後悔しないようにさ」