初恋の向こう側




昼休みの校庭。


芝生に寝そべり空を仰いでいた。



「それはさ、つまり椎名と一緒にいるところを目撃したことより、椎名のことを『知らない』って嘘をついてたってことにショックを受けたんじゃねーの? その、千尋ちゃんだっけ? 彼女はさ」


隣で同じように寝転がるオサが言った。


「やっぱ、そういうことだよな」


今朝の出来事を考えるばかりで、午前の授業はほとんど頭に入らなかった。

でも千尋の悲し気な顔だけじゃなくて、ヒロの体温や柔らかな肌の感触を思いだしてはドキドキもしていたんだ。

付き合ってる相手は千尋だというのに。


「この前、あのカフェで会ったじゃん? あの後『いい子そうじゃん』って千尋ちゃんの事を言おうと思ってたんだけどさ」

「だけど?」