バスを降りたヒロが早足で前を行く。
「待てよ!」
小走りと早足を交互にしながら声をかけるが、まるで知らん顔。
どんどん先を行くヒロ。
「ヒーロッ、待てって!」
と、急に立ち止まったヒロの後ろで急ブレーキをかけた。
「なんで急に止まるんだよっ!?」
文句を言うと、振り返ったヒロが俺を睨みつけて
「待てって言ってたくせに、何その言い方は?」
と吐き捨てて、そして 「ん!」とぶっきらぼうに前方を指で差した。
示されて方へ顔を向けると、横断歩道の信号が赤く点灯していた。
「あっ そっか……ごめん」
「あたし、梓真と心中する気なんてないからね」
とぷいっと前へ向き直るヒロ。
その後ろ姿を見つめながら俺は、心の中が晴れていくのを感じていた。
いつも通りの、俺のよく知っているヒロ。
元気で勝ち気な、そんなヒロと久しぶりに向き合った気がしてホッとしていたんだ。
信号が青に変わり再び歩きだす。
その後ろを追いかけながら、心が躍っていた。



