初恋の向こう側


小っちゃな手で顔を覆い泣いている。
俯き、時折しゃくりあげながら。

そのリズムに連動して、ふたつに結んだ髪の細い束が揺れていた。

それから十分程が経っただろうか。
泣いていた彼女がゆっくりと顔を上げる。

街灯に照らされたその顔を濡らしているのは、涙なのか鼻水なのか?

言っちゃ悪いがとにかくグチャグチャで、それを自覚しているかは定かでないけど、そのままの顔で俺を見上げた彼女が目の前で深呼吸した。

大きく吸ってゆっくりと吐き、それから口を開く……が、言い渋ってまた深く息をつく。

結局、それを三度も繰り返した。

目の前でスーッ、ハァーってされると同調しそうになって、なんだかこっちまで変な汗をかきそうになる。

かなり気まずく、ひどく居心地が悪い……。一体この後の展開って、どうなるんだよ? 

なんて思いが浮かんだその時、


「わっ!」

「……わ?」

「わ、わ、わたしと付き合ってください!」


驚くほどはっきりと告られた。