初恋の向こう側




十二月になった。

いつものように街の中は、クリスマスムード一色。

街行くカップル達の密着感も増してるように見える……のは俺だけか?

この傾向ってヤバイかも。

彼女いない歴二年近くにもなると、そろそろ“ひがみ”が出てきたかな。


いつものバス停に着いて、いつものベンチに座る。

そうしたら自然と、大通りを挟んだ反対側の停留所に目が動いた。

あれからヒロとは、顔を合わせれば一言、二言の会話をするようにはなった。

でも以前みたいな俺等に戻ったわけじゃない。

ふざけ合うことも、くだらないことで言い合うこともなくなった。


愛莉の言うように話し合ったとしても、
ヒロがあの大学生と付きあっている、そのことに変わりはなく。

だからどうとは言わない。

ただ、その事実は俺に、いつの間にか出来たヒロとの距離を感じさせた。

いつまでも幼かった頃のようにはいられない、って ──